令和2年度「国産ジビエ料理セミナー」開催(エコール 辻 東京)
2021年1月29日(金)、2月11日(木祝)、エコール 辻 東京で『令和2年度 国産ジビエ料理セミナー』が開催されました。
このセミナーは、農林水産省「鳥獣被害防止総合対策交付金」事業の一環として、一般社団法人日本ジビエ振興協会主催、辻調理師専門学校・エコール 辻 東京共催で、2017年度から毎年開催されています。
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてのオンラインでの開催となりました。参加者は事前に、国産ジビエの【利活用に関する概況】、【認証取得施設の取り組み】、【肉の科学】、【衛生管理】、【栄養】についての講座をeラーニングのオンデマンド教材で学び、2019年度までは対面で実施していた【実習】や【試食】をセミナー参加者が自宅で実施できるように試食品を事前配送しました。さらに、質問を受け付けるリアルタイムのオンラインセミナーを実施して、参加者が自宅で学び、作り、食べることができるようにと考案しました。
試食品を配送するには、レシピの考案から官能評価、微生物試験、食品表示、運搬時の温度管理など、おいしさにおいても安全衛生においても、クリアしなくてはいけない課題が山積みでしたが、東京校と大阪校の「チーム・ジビエ」の教員が一丸となって臨み、無事に参加者に届けることができました。
リアルタイムのオンラインセミナーの最初の講座は、一般社団法人 日本ジビエ振興協会 代表理事で、フレンチレストランのシェフ藤木徳彦氏による『鹿肉の解体』でした。ワナで捕獲した、およそ30キロの剝皮・内臓摘出済みの小柄な鹿の解体が、藤木シェフによって、各部位の肉質の特徴を示しながら丁寧に解説され、モニター画面を通じて参加者に詳しく伝えられました。
次はエコール 辻 東京の秋元真一郎先生が担当した『安全なジビエの加熱方法』の講座でした。安全性を確保しながらおいしく調理するための工夫について、パワーポイントによるスライドや動画にリアルタイムの実演も交えた、参加者にもわかりやすい内容でした。
そして、試食品として提供された『鹿モモ肉の南蛮漬け』『猪丼』『猪スネ肉の中国味噌煮込み』『鹿カタ肉のスパイシー水餃子』の計4品についての料理講習が続き、日本料理2品をエコール 辻 東京の野中覚先生、中国料理2品を辻調理師専門学校の船渡兼市先生が担当しました。カタやスネなど、筋が多く固いので料理しにくいとされる部位を主たる食材として選んだことには、真摯に素材と向き合い、頂いた命を余すことなくおいしく調理するという先生方の姿勢が示されていました。また、2人の先生による、助手の先生との息の合った連携プレー、ユーモアのあるわかりやすい解説、美しい所作や手際の良さについても、モニター映像を通じて十分感じられました。
試食品についても、参加者から『試食品のクオリティを超えている!』『大変美味しかった!』『自身の料理の概念が変わった』『とても良い勉強になった』『こんなにおいしく食べてもらえたら、私たちが仕留めたジビエも報われる』と、大変嬉しい感想をいただきました。
従来通りのことができない状況の中、参加者の方々にいかにジビエの魅力を伝え、発信していけば良いかを模索し続けた結果、また新しいセミナーの形を見出すことができました。より良い学びの機会の提供に向けて、辻調のチャレンジはまだまだ続きます。
エコール 辻 東京 教養グループ 河合麗子